初めに
「今の暮らしが不便になってきた・・・」
もしかするとその悩みは、次のような悩みかも知れません。
「子供たちが成長し家族みんなで暮らしてみると、住まいに不便さを感じる・・・」
「子供たちが独立して、夫婦だけで暮らしてみると住まいに不便さを感じる・・・」
「定年後は、老夫婦で生活していくには今の家のままで大丈夫だろうか?」
このようにこれからの暮らしに、いろいろな悩みを感じていることでしょう。
そして、家をリフォームし快適に生活したいと思って、このコラムをご覧になっているのかもしれません。
そうです。
誰もがあなたと同じように、住まいの悩みを解決するためにリフォームを考えているのです。
そして、安易に施工業者を決めてしまい、連日マスコミで報道されているようなトラブルに巻き込まれてしまうのです。
リフォームでトラブルに巻き込まれるパターンはたくさんあります。
そしてその中でも一番多いパターンが次のような訪問販売業者とのトラブルです。
「この前うちに来た、リフォームの営業マンにお願いしようか。人柄も良さそうな感じだったし・・・」
これから快適に暮らす為にするはずだったリフォーム。安易に業者を決めてしまった結果・・・
もちろん、その結果をあなたは新聞やテレビの報道で既にご存じでしょう。
悪徳リフォーム業者に老人が騙されるとい悲しいニュース・・・
そして、悪徳訪問販売業者に騙されているのは、老人に限らず後を断ちません。
すべての方が笑顔で工事を終えられるわけではないのです。
「こんなはずじゃなかった。こんな形で大切なお金をムダにしてしまうなんて・・・」
「リフォームをして暮らしを良くしていきたいと思っていたのに、逆に生活に不安を感じてしまいます・・・」
そうです。
この様に、リフォーム工事をした後、後悔する方が後を絶たないが現状なのです。
自分の業界の事でお恥ずかしい話ですが、リフォーム業界は「クレーム産業」と呼ばれています。
悪質な訪問販売によるリフォーム工事でトラブルが絶えず、社会問題になっているのです。
そして、
2013年3月、国民生活センターが発表した内容によると
「トラブルは悪質な訪問販売リフォームだけじゃない!」
と消費者の業者選びに問題があると言っているのです。
次にこの内容は、2016年新聞全国紙のトップ記事として掲載されました。
そして厳しい言い方ですが、リフォーム工事によるトラブルの責任は業者だけでなく、安易に契約してしまう消費者であるあなたにもあるのです。
このような話をすると、
「そんな大げさに報道しょうるだけじゃろ」
「たまたま悪りー業者に引っかかっただけなんじゃろ」
中にはそういって、まるでご自分には関係ないことだと信じて疑わない方もいます。
でも、本当にそうでしょうか。
あなたは大丈夫だと、そう胸をはって断言することができるのでしょうか。
私のところには、以前リフォームをした時にひどい目に遭ったという方からのご相談が、何件もありました。
それらは、どれもこれも耳を覆いたくなるようなヒドイ話ばかり。
でも安心してください。
業者選びさえ間違わなければ、このような事態になることはないのです。
リフォームは決して安いものではありません。
大切なお金を遣うのですから、信頼できる業者に頼んで、快適に暮らせる住まいにしたいと思うのは、当たり前のことです。
業者選びさえ間違わなければ、トラブルに巻き込まれる事はないです。
では、その信頼できる業者は、どうやって選べばいいのでしょうか。
たくさんいるリフォーム業者の中から、どうやって信頼できる業者を見つけ出せばいいのでしょうか。
そうです。このコラムでは、その方法をすべて明らかにしているのです。
このコラムを読み終える頃あなたは、信頼できる業者を見つけるコツを身につける事が出来ます。
・信頼できるリフォーム営業マンとそうでない営業マンを簡単に見分けるポイント
・営業マンの本音とタテマエを即座に見破る、とっておきのコツ
・適正な料金かどうかを判断する基準
・まかせて安心な職人とそうでない職人を区別する方法
・契約書類のチェックポイント
などなど、リフォーム工事を行う上で知らなければならない大切なポイントについて、十二分に理解できるはずです。
想像してみてください。
心から「お願いしてよかった!」と思える業者に出会い。幸せな毎日を過ごしている、自分たちの姿を・・・。
私は心を込めて、このコラムを書きました。
リフォーム工事で悔し涙を流す人が一人でも少なくなるように、何度も何度も書き直しながら、一生懸命に書きました。
このコラムをお読みになって、ぜひ快適な暮らしを実現してください。
2020年11月
リフォームレシピ建築設計事務所 片岡 彰彦
ひょっとして、あなたは勘違いしていませんか。
リフォーム工事は、運が悪くて失敗するわけではありません。失敗する人は、実は最初から決まっていると言われているのです。
では、どんな人が失敗するのでしょうか。
ズバリ、リフォームについて知識がない人です。
厳しい言い方をするようで、申し訳ありません。
誤解しないで頂きたいのですが、私は何もリフォーム工事について一から百まで知らなければならないと申し上げているわけではありません。
見積書に書かれている金額の一つ一つが高いかなど、普通は判断できないでしょう。
また職人が道具を使う様子を見て、様子がおかしいなどと判断するのも、一般の方では不可能ですよね。
私が申し上げたいのは、知識を持たないあなたがリフォーム工事で成功するためのポイントは、信頼できる業者に出会えるかどうかということです。
大切なことなので、もう一度申し上げます。
リフォーム工事で成功するポイントは、信頼できる業者に出会えるかどうか。
そしてその為には、国民生活センターの発表にもあったように容易に契約してしまわないようにリフォーム会社を選ぶ目を養わなければいけません。
なんの知識もないまま営業マンの口車に乗せられてしまっては、元も子もありません。
私はリフォームのプロですから当然のことながら、業界のことをよく知っています。
中にはちょっと常識では考えられないようなひどい手口で、大切な財産であるあなたの家を、ただの金もうけの道具にしようとする会社もあります。
このコラムでは、そんな悪徳ともいえる会社の姿をすべて明らかにしようと思います。
中には同じ業界の人間としてやるせない気持ちになるような悲しい話もあるのですが、思い切ってお話することにします。
ぜひじっくりと読みになって、まずはリフォーム業界の実態について十分知識を身につけてください。
そして是非とも後悔のないリフォーム工事を実現してください。
さわやかな笑顔で挨拶する営業マンはとても感じが良いものです。
でもだまされないでくださいね。
営業マンは初めてあなたのご自宅に訪れた時から、家の大きさや乗っている車、生活の様子などをチェックしています。
そして、それから、あなたの事を即座に値踏みするのです。
「この客なら、これくらいの金額を出せるだろう。だったら、ついでに別工事もすすめちゃろう」
営業マンの微笑みとは裏腹に、頭の中ではすでにドロドロとしたお金の計算が始まっています。
国民生活センターに寄せられる、リフォーム工事に関するトラブルの相談の多くは、このような「次々販売」と呼ばれる必要のない工事の契約です。
リフォームが不要な箇所まで次から次へと工事を勧め、多額の契約を結ぶという悪質な手口。
実際に工事が終わった後になってから、
「この営業マンを信用して言われた通りにやったけど、最初に予定した金額よりも高こぉついてしもた」
こんな後悔しないように、本当にその工事が必要かどうか十分に検討してください。
当たり前のことですが、甘い言葉や営業マンの見た目の良しあしだけで、リフォーム工事を決めてはいけません。
自分の成績のことしか頭にない営業マンに捕まってしまうと、大変なことになりかねません。
「何でもおっしゃってください。私に任せてくだされば全てばっちりです」
そう心強いセリフで胸をドンと叩いて見せても、契約後には態度が180度変わるかもしれないのです。
営業マンの中には、自分の仕事は、「契約をとること」と割り切っている人は大勢います。
営業マンは皆、契約を取るのに必死です。
実際のところ、それは仕方のないことです。
サラリーマンですから、契約が取れなければ上司から文句を言われ、首を切られないとも限りません。
仕事を続けるために、お客様の機嫌を損ねることのないよう、まるでコメツキバッタのように頭をペコペコ下げて、信頼を勝ち取ることしか方法を知らないのです。
特に月末ともなれば、ノルマを達成するために、あの手この手を使って契約を迫ります。
くれぐれも気をつけてください。
営業マンは契約のプロです。
困り果てた演技に同情して安易に契約をしてしまい、
「私は何も聞いていません。そんな大切な事、初めに教えてくれてもいいじゃないですか」
後になってからそう文句を言ったところで、「時すでに遅し」なのです。
大手リフォーム会社ともなると、営業マンはそれこそ契約を取るだけ。実際の工事の下請け会社にそのまま丸投げしています。
集金の時だけ顔を見せて、工事途中は一度も現場に足を運ばないなんてところも沢山あります。
これがどういうことなのかわかりますか。
あなたがリフォームをお願いする相手が大手であっても、実際に工事をするのは全く別の会社の人間ということです。
「確かに仕事の依頼は途切れんし、支払いも問題ねぇ。でも、コストダウンばぁを要求されて困るんよ。
これじゃ材料費をおさえんといけんし、本当に腕の良い職人は離れていってしまうんよ」
これは大手リフォーム会社の下請けをしている、工務店社長の話です。
工事を下請け会社に丸投げすることで生じる弊害は、沢山あります。
リフォーム工事における不平不満のほとんどは、この丸投げが原因で引き起こされているとさえ言われています。
・お客様と営業マンのほかに顔の見えない沢山の人が存在するため、連絡がきちんと行き届かなかったり、伝えたはずの内容と違う事が伝わってしまうことがある。
・何かトラブルがあった時に責任の所在が曖昧になり、クレームがたらいまわしにされがち。
・下請け会社にも経費がかかることになり、その分コストが工事料金に上乗せされるので、費用は割高になることが多い。
あなたも容易に想像できるでしょう。
営業マンには、実際に工事をするのがどこの会社のどんな職人なのかよく聞いてみることが大切です。
手抜き工事とは文字通り、本来やらなければならない作業を怠ったり、契約を取りたいがために価格を通常よりも安くして、その分いい加減な作業で済ませる工事の事を言います。
テレビや雑誌でも頻繁に取り上げられていますから、あなたも一度や二度はご覧になったことがありますよね。
手抜き工事の厄介なところは、一般の方には、それを見破ることができないことです。
建築関係の会社にお勤めの方、それもかなり現場に近いところで仕事をしている方でなければ、手抜き工事を見破るなんて、難しいですね。
たとえ仕様書や見積書を穴のあくまで細かくチェックするとしても、現場の職人に対して厳しい目を向けるとしても、確かめることができない部分もあります。
また床下の補強はどんなふうにやっているのか、外壁を塗り替える時の塗料の中に何かまざっていないかなど、点検したくてもできない部分や点検してもよくわからないこともあるでしょう。
非常に残念なことなのですが、手抜き工事の多くは、業者側が計画的に行うものだといわれています。
「ちょっとぐれぇ手を抜いたって、わかりゃせん。手間をかけずにとっとと終わらせたほうが楽じゃ」
「どうせわからんのじゃけぇ、適当にやっとっても同じじゃ。3日かけるところを2日でやってしまえ」
モラルの低い会社は慢性的にそう考えてしまいます。
だからこそ、他社よりも安い価格で請負い、技術の低い職人を雇い、手早く工事をすませて逃げるように去っていくのです。
リフォームは、家族がより一層快適に暮らすという願いを実現するためのものです。
手抜き箇所に我慢ができないからと言ってやり直させれば、時間がかかるうえに、精神的に大きなダメージを受けてしまいます。
「こんなはずじゃなかった。こんなことならリフォームしない方がましだった。」
くれぐれも、そんな悔しい思いをすることがないように。
「一生のお付き合いをさせてください。僕が責任をもってフォローさせていただきます。」
そう約束をしてくれたからお願いしようと思ったのに、頼みごとをしても、ちっとも対応してくれない。
そんな営業マンには、がっかりしてしまいますね。
「自分たちでは直せそうもない。でも、わざわざ業者にお願いするほどではないかな」
あなたのご家庭には、そんな些細なトラブルはありませんか。
毎日生活していれば、ドアのノブがぐらぐらするだとか、蛇口を閉めても水がポタポタ落ちるだとか、ちょっとした問題が起こることもあるでしょう。
こうした時、柔軟に対応してくれる業者があれば、とても嬉しいですよね。
特に一人暮らしのご老人や老夫婦だけのご家庭であれば、なおさらそう思うでしょう。
せっかくの一生のお付き合いを望んでいたのに、工事が終わったらそれっきり。何の連絡もよこさない。
たとえ何年かたって、またリフォームする必要が出てきたとしても、そんな会社には頼みたくないですよね。
私は、リフォーム業者は地域に根差した会社こそ、一番信用できると思います。
困った時にはすぐ駆けつけてくれる地域密着型の会社こそ、一番頼りになると思うのです。
あなたはどうお思いになりますか。
リフォーム業界には、訪問営業マンと言われる人達がいます。
訪問営業マンは営業のプロです。
ピンポンピンポンピンポンと一日に200件~250件ものも家庭を訪問し、あの手この手で契約を迫ります。
訪問営業マンは、いったい一日に何度、お客様の「結構です」の言葉を聞くのでしょうか。
野良犬でも追い払うようなしぐさで、追い返される事も珍しくありません。
しかし、それでも、めげる事は許されません。
契約が取れなければ、会社に戻れません。
ですから、毎日毎日、ただひたすら、血のにじむ思いでピンポンピンポンと繰り返すのです。
私は業界の人間ですから、この業界の訪問営業マンがいかに巧妙な手口でお客様に契約を迫ろうとするのか、よく知っています。
それは、「狩り」に例えることができます。
「先輩、これから獲物を仕留めに行ってきます」
「よし、成功するまで帰ってくるなよ」
ここでいう、獲物とは?そう、あなたのことです。
ベテラン訪問営業マンの手にかかれば、あなたはかわいい子ヒツジと同じ。わなに落ちるのは時間の問題です。
ここでは、あなたが足元に罠をかけられ、首根っこをぎゅっと押さえつけられる前に、必ず知っておかなければならない大切なことをお話します。
ぜひじっくりとお読みくださいね。
これも実際にあった話です。
今から3年ほど前、相談者の母親のご自宅に、訪問営業マンがやってきました。
最初は実直そうな態度で説明していた営業マンですが、話がうまくまとまらないと、
「このままでは会社に戻れません。どうか私を男にしてください」
そう玄関先で土下座を始めました。
何を言っても頭を上げてくれないので、仕方なくしばらくの間、黙って話を聞くことにしました。
しかし営業マンはなかなか引き下がりません。
あまりのしつこさに、断るのも疲れたその方は、「これで解放してくれるなら」と、仕方なく諦めに近い気持ちで、契約書に印鑑を押したといます。
120万円もする外壁塗装の工事契約です。
まるで刑事のしつこさに負けて、してもいない罪を認めてしまったようなものです。
しかも、工事はとてもひどいものでした。コーキング処理がしていない箇所があったり、素人でも明らかにわかる塗むらがあったりと、なんともいい加減な状態でした。
訪問営業を専門にする業者の営業マンは、受注のためにはかなり強引なやり方をする人もいます。
一旦家に上がりこむと、何時間も平気で居座り、脅迫まがいの営業トークでお客様を落とそうとするのです。
相手は契約のプロですから様々な手口を巧妙に使い、かならず負けて契約してしまいます。
どうか、くれぐれもお願いします。
いきなり訪ねてきた営業マンは、玄関には入れないでください。
少しでも「強引だな。」と感じたら、インターホン越しに、毅然とした態度でお断りしてください。
「主人が同業者です」という言葉は効果的です。
高齢者のリフォームトラブルの多くは、一人暮らしの高齢者をターゲットにした、悪質な「点検商法」からの契約です。
どういうものなのかご存知ですか。
まず一人暮らしの高齢者の方を見つけたら、親しげに話しかけてきます。
そして
「無料で家の点検をしてあげましょう。」
と言って屋根に上り、
「これは大変ですよ。瓦がずれています。このままでは大雨が降ると雨漏りしますよ。」
そう言って、高額な屋根の修理工事などを即時、契約させるというものです。
また次のようなケースもあります。
「これは大変です。土台がずれています。地震が起きたらこの家はつぶれてしまいますよ。」
そう不安をあおって、耐震工事を勧めるのです。
無料点検の内容は、屋根や床下など普通の人にはチェックできないところがほとんどです。大した点検もしていないのに、カビや湿気が多いから問題だとか、一部分がずれているなどと適当なことを言って、一方的に不安をあおります。
さらに、こうした業者の中には、
「今、近所でリフォームしているので、今すぐ契約したら特別価格になりますよ。」
などと言って家族に相談をさせずにその場で無理やり契約を迫る業者もいます。
これはもう、立派な犯罪です。
依頼もしていないのにやってきて、「無料で点検させてください」などという業者には、注意が必要です。
手口が巧妙なうえに、表面上は親切に対応してくれているので、だまされていることに気づかない方も多くいらっしゃいます。
くれぐれもその場で契約書に印鑑を押すなんてことないように、気をつけてくださいね。
「今ならキャンペーン中です。とっても得ですよ。」
こんな甘い言葉でお客様に近づく営業マンは、とても怖いですね。「キャンペーン商法」は、大して安くもない工事をいかにも安く見せかけ、契約を迫るセールス方法のことをいいます。
キャンペーンの中には、本当にお得な場合もありますし、とても手頃な価格で工事をしてくれるところもあります。
でも中には、年中、毎月、毎週、毎日キャンペーンをうたい文句にしている会社もあります。それではいったい何が本当の価格で何がキャンペーンなのか、訳がわかりませんね。
しかもリフォーム工事を安くするには、実はカラクリがありますね。
特に気をつけなければならないのは、締め切りを設けて、強引に契約を強いる業者です。
「今日の何時までに契約しないと、無効になります」
「あと一件、別の現場で契約が決まったらおしまいです」
このように時間や件数を決められると、人は切羽詰った気持ちになり、正常な判断ができなくなります。
そして、それこそまさに、奴らのねらいなのです。
くれぐれも、営業マンの口車にはのらないように。
笑顔で工事を終わらせるためには、よくよく考えてから業者を決めることが大切ですよ。
リフォーム業界に限らず、建設業界は今、大変です。
折からの不況もあり、現在はコロナの影響で、業界淘汰は進む一方。
リフォーム業界に関して言えば、もともとの事業で採算の取れなくなった会社がどんどん進出、ホームセンターや家電量販店のみならず、大手ガス会社や大手ECサイト、リフォームWEB販売サイト、不動産会社までもがリフォーム業界に参入しているのです。
そして、価格競争が始まりました。
大手リフォーム会社や家電量販店は、営業マンの数に物を言わせて、「質より量」の営業活動を繰り広げています。
業界全体が活性化するのは良いことです。
お客様にとっては選択肢が広がりますから、知識と時間さえあれば、じっくりと信頼できる業者を選ぶことができます。
でも、その反面、知識を持たないお客様は、知らず知らずのうちにトラブルや事件・事故に巻き込まれ、本当に誠実な仕事をしている会社には、その他多数の会社の波にのまれ、どんどん少なくなっているのです。
今から20年ほど前に私の母が自宅の階段から転落し、頚髄を骨折し、手術をしたのですが、麻痺が残り下半身不随の状態になってしまいました。リハビリテーションセンターに1年間お世話になり、私自身も介護の勉強をしながら福祉事務所へ相談に通い、そのことをきっかけに、リフォームの仕事をすることになりました。
その後平成12年4月に介護保険がスタートし、介護保険での住宅リフォームで1000件以上の高齢者の方や障がい者の方にお会いし、住宅の改修工事をしてきました。
高齢者の方が自宅で事故を起こさないために手助けをしていくのが私の役目だと思っています。
しかし何度も申し上げるようですが、冒頭でも申し上げた通り、高齢者が被害者となるリフォーム工事が後を絶ちません。
長年、自分が身を置いているこの業界が、世間の人たちからこのように思われていること、居ても立ってもいられないほど悔しく、やるせなく感じています。
なんとかして、このクレーム産業と呼ばれる業界を変えていきたい。
これ以上悪質なリフォームで高齢者の方に辛い思いをさせたくない。
しかし、そう思ってはみるものの、私にできることは限られています。
思いがあっても、伝えることができなければ、何も始まらないのです。
お客様に知識を持っていただきたい。
そしてリフォーム工事を笑顔で終わらせ、快適な暮らしをしていただきたい。
私はこの思いをコラムを通してあなたに伝えたかったのです。
また、このコラムをお読みいただいて、1人でも多くの方に信頼できるリフォーム会社選びのポイントを理解していただきたいのです。
繰り返しますが、私にできることは限られています。
でも、1人でも多くの方にこのコラムをお読みいただくことで、いずれこの業界が良い方向に進路を変え、本当に誠実な会社だけが生き残っていくものと信じています。
家は家族の幸せを育む場所。家族みんなが幸せになるためにリフォームするのに、その幸せを壊そうとする業者がいるのを許しておくわけにはいきません。
どうかお願いです。
この小コラムをお読みになり、信頼できる業者を見つけ、心の底から「やってよかった。」と思えるリフォーム工事を実現してください。
私はそのためにこの小冊子を書いたのです。
さて、いよいよ本題に入ります。
この章では、リフォーム工事を笑顔で終わらせるために、あなたがどうやって信頼できるリフォーム会社を選びがいいのか、そのポイントを五つお話します。
ぜひお読みになって、心から満足できるリフォーム工事を実現してくださいね。
その1 チラシの価格で判断しないこと
週末ともなると色とりどりのチラシが新聞と一緒に折り込まれてきます。リフォーム業界のチラシも、例外ではありません。あなたも目にしたことがありますよね。
リフォーム業者のチラシを見ると、「今だけ特別価格」「掘り出し物」「格安」「絶対にお得」などというキャッチコピーが目の中に取り込んで来ることがあります。
でもここに落とし穴があるのですよ。
リフォーム工事は、安いからといって満足できるとは限りません。
値段の安さを決め手に契約するのは、やめたほうが良いと思います。
本当に必要な工事がお手ごろな価格で実現できれば、それに越したことはありません。
でも少しでも安くおさめようとした結果、思った以上に使い勝手が悪かったり、耐用年数が短いことがわかったとしても、もう一度リフォームをやり直すのは、そう簡単ではありません。
チラシは業者選びの一つの判断基準です。大いに参考になさると良いでしょう。
でもその時は、価格を第一に見るのではなく、社長やスタッフ、それにお客様のコメントをよく見るようにしてください。
社長はどんな人なのか、スタッフはどんな気持ちで仕事に取り組んでいるのか、その会社で工事をしたお客様はどんな点を褒めているのかなど、「人」に注目してみてください。
価格の安さばかりをアピールする会社というのは、結局のところ、価格をしか取り柄がないと考えてよいでしょう。
リフォームは決して安いものではありません。ちょっと間違ったからといってすぐにやり直すことなんてできないのですから、まずはどんな会社なのかをよく考えながら見てみるといいですね。
その2 すぐに見積書を出したがる業者に要注意
業者の中には、すぐに見積書を提出したがるところもあります。このような業者も要注意です。
先程のチラシの例と同様に、すぐに見積書を提出したがる会社というのは、価格の安さを売りにしている会社といえます。
相見積もりの結果、少しでも他社より高ければ、
「もう少し値下げできます。お願いですからうちでやってください!」
「よそはいくらですか。うちはそれより10万円お安くしますよ!」
そう強引に契約を迫ろうとするのです。
また、
「相談したいからって、わざわざ調査して見積書を作ったんですよ。何度も足を運ばせておいて、断るなんてないんじゃないですか」
半分おどしに近い形で、有無を言わせぬ雰囲気を作り出す会社も中にはあります。
あえて申し上げますが、見積書を作るのは、とても大変な作業です。
しっかり時間をかけて調査をした上で、できるだけお客様に喜んでいただけるプランを作成して、頭に汗をかきながら作り上げるものです。
それを気安く提出したがるような会社であれば、
・きちんと調査しないで、マニュアル通りに見積もっている。
・材料をケチって、お粗末な工事しかできない。
・腕の悪い職人を使って、安い賃金で済ませようとしている。
のいずれかに違いがありません。
見積書は本来、
・ご要望のリフォームをしなくても解決できる方法はないのか。
・悩みを解決するためには、どうしてもリフォームする必要があるのか。
・リフォームするとしたら、お客様は望んでいる方以外にもふさわしいやり方があるのではないか。
など、そこまで考えてから提出するものです。
言い換えれば、そこまで深く考えなければ、適正な見積書など出せっこないのです。
何もわからないまま「とりあえず見積もりしてください」なんてことを口にしてしまうと、それこそ、業者の思う壺ツボです。
価格について気になさるのは、よくわかります。
でも、そもそも信頼できる業者であれば、必ず適正な価格で工事を請け負ってくれるはずですね。
ちなみに、よくある設備リフォームの「〇〇%オフ」の数字が各社様々ですが、工事全体から見るとその差額は微々たるものですし、「パック工事」という言葉にも何が含まれているかも各社様々です。よく目につきますが、惑わされないようにしてくださいね。
見積書を依頼するのは、信頼できる業者だと判断してからでも遅くはないのですよ。
その3 過去に工事した人からの声を見せてくれること
「これまでに御社でリフォームした人は、御社に対して、どのような意見を言っていますか。そうしたコメントや感想を聞かせてください。できれば、紙に書いたものを見せてください」
この質問は、とても大切です。
気になる業者がいくつか絞れてきたら、ぜひこの質問をしてみてください。
これまでにその会社で工事をした人のコメントには、参考になる情報がいっぱい詰まっています。
営業マンの様子、職人の態度、価格、工事途中の出来事、何かトラブルがあったかどうか、工事が終了した時の対応などなど、その会社が本当に信頼できるリフォーム会社かどうかを判断する最も重要な基準になります。
営業マンは、どうしても自分の事や自分の会社の事を良い様に言いがちです。聞く方も、そのつもりで話半分で聞いていることが多いでしょう。
でも、「お客様の声」は真実の声。うそ偽りのない情報ですから、あなたにとって、最も信用できる評価材料ということになります。
私はいつも思うのですが、仕事をしていて、お客様からお聞かせいただく喜びの声ほど励みになるものはありません。
疲れているときも、お客様からお寄せいただいたアンケートに目を通しているうちに、自然とやる気がみなぎってきます。
誠実な会社であれば、「お客様からの声」は必ず集めているはずです。
ぜひじっくりと見せていただいてください。
そして、信頼できる会社選びの重要な決め手にしてくださいね。
その4 クレームについても包み隠さず教えてくれること
リフォーム工事にはミスがつきものです。
開き直ってこんなことを口にすると、あなたは唖然となさるかもしれません。
でも、正直にお話し致しますが、私には、この世の中に100%ミスのない完璧なリフォーム工事が存在するとは、どうしても思えないのです。
リフォームは機械が行うものではありません。人間が、しかもアウェイで行うものです。
常に最善を尽くすつもりで励んでいますが、どうしてもミスが生じることはありますし、工事が進むにつれて、予想に反することが出てこないとも限りません。
でも、私は思います。
本当の問題は、ミスがある事ではありません。
そのミスを見て見ぬふりしたり、お客様からのクレームを放置したまま逃げたりすることが問題なのです。
良識のある会社であれば、ミスやクレームが発生したら、すぐにお客様のところにお邪魔して、詳しい状況を担当者からご説明させていただくはずです。
そして、するべきことを判断して、なるべく迅速に、誠意ある対応をさせていただくはずです。
クレームを解決するという作業は、決して楽しいものではありません。でも、これはお客様に対する最低限のマナーです。
せっかく大切な住まいの改修工事をお任せいただくのですから、お客様にかけるご迷惑を最小限に食い止めるよう、できる限りのことをさせていただくのは、当然ですね。
「御社には、これまでにどのようなクレームがありましたか。その時はどうやって対応したのですか?」
何も遠慮はいりません。信頼できる業者かどうかを見極めるために、是非ともこの質問をしてください。
そう尋ねてみて、言葉に詰まったり、曖昧な返事で話を横に流してしまうような業者は、注意が必要ですよ。
その5 お客様の悩みを解決してくれること
リフォーム工事は、お客様の数だけ様々な形がある、非常に難しい仕事です。
ですからリフォームは、「ただ商品が売ればいい」というものではありません。
お客様の家族構成や生活スタイル、今後の将来の生活設計などを考え、沢山ある選択肢の中から一つだけのふさわしいカタチを選ぶ必要があるのです。
一人一人の要望にきちんと耳を傾け、お客様が何を望んでいるのか、しっかりとお話を伺わなければ、そもそも満足できるリフォーム工事なんて、実現できるわけがありません。
例えば次のようなケースがあります。
ご主人がご病気になって足が思うように動かなくなってしまったご家族がいらっしゃいました。
このご家族は全室バリアフリーの改修工事をご希望されていました。
しかし、このご家族の場合は、全室バリアフリーの工事はおすすめしません。
なぜなら、ご主人は杖あるいは手摺を使用しての歩行が、非常に困難であり、在宅でも車椅子を使用することが多くなります。
車椅子を使用するから段差をなくすというのは、間違ってはいないのですが、段差だけを解消しても、日本の家は狭いので、自分で操作する車椅子では廊下を曲がれない、方向転換ができないということになりかねます。
そこで、同じ予算であれば、リビングに近い部屋を寝室に改修したり、トイレが廊下の奥で行くことが困難であれば、寝室の押入れやクローゼットをトイレに改築する方法を提案します。
「お客様にとって本当に必要なリフォームとは、どんなものなのか」
「何をしなくてよくて、どういうやり方ならベストなのか」
それらについてきちんと話し合うことなくリフォームをしてしまい、後悔することにもつながりかねません。
悩みを伺っているうちに、解決策は別のところにあることに気づくこともあるでしょう。
また、ひょっとしたら、やっぱりリフォームしなくても良いことがわかるかもしれません。
そうしたら、大切なお金なのですから、それはそれでいいじゃありませんか。
リフォーム業者を選ぶ時には、あなたがどんなリフォームをしたいかだけでなく、
・今現在どんな悩みを抱えているのか。
・その悩みがあることでどんな苦しみを味わっているのか。
・どうすれば、その悩みを解決することができるのか。
それらの話にきちんと耳を傾け、しっかりと解決策を提案してくれる業者を選んでみてください。
以上、五つのポイントをクリアしてこそ、あなたが一生に何度も経験しない大切なリフォーム工事をお願いするに値する業者といえます。
「随分大変そうですね。本当に見つかるか不安です。」
ひょっとすると、そう感じていらっしゃるかもしれません。
いえ、心配ありません。
これらのポイントをすべてクリアする業者は必ずいるはずです。
焦って決める必要はありません。
じっくりと時間をかけて、心の底から納得できる業者を探してみてくださいね。
ここでは、皆様からのご質問にできる限りお答えしようと思います。
Q.値引きはどれくらいしてもらえるの?
A.リフォーム工事をしたいと思う時に、一番気になるのは、やはり価格の事でしょう。
当たり前ですね。
限りある大切なお金です。
値引きやサービスをうれしく思わない方はいらっしゃらないでしょう。
でも、ここで少しだけ考えていただきたいことがあります。
大変残念なことなのですが、リフォーム会社の中には、値引きを前提に見積書を作成する会社があります。
これがどういうことだかわかりますか。
見積書をご覧になったお客様が「もう少し安くしてくれ」と値引きを要求すれば、あらかじめ上乗せしていた金額分を値引きする。
一方、何も要求しなければ、何事もなかったかのようにその分をそっくりそのままいただいてしまうということです。
ひどい話ですね。
これでは価格などあってないようなもの。しかも、営業マンは、損をするお客様を見て、心の中で、「しめしめ」とほくそ笑んでいるのです。
申し上げるまでもないことですが、これは決してあってはならないことです。
本当に誠実な会社であれば、そもそも気安く値引きに応じるはずはありません。
最初から嘘のない正確な価格でお見積もりさせていただいているのですから値引きなどできっこないのです。
もちろん、感謝の気持ちを表すためにサービスとして、きりの良い数字にさせていただくことはあります。
でも、気安く数十万円単位で値引きしたり、相見積もりだとわかった途端に「特別に足場代をサービスしますよ。」などと甘い言葉を口にする業者には、くれぐれも気をつけてくださいね。
Q.職人さんとはどうやって付き合えばいの?
A.実際に工事をするのがどんな職人なのか、気になる方は沢山いらっしゃるでしょう。
工事の最中は職人を自宅にあげるわけですから、気になるとおっしゃるのも最もなことですね。
職人の中には威勢の良いものもいますし、頑固で愛想のないものもいます。
でも、それぞれがその道のプロとして、一生懸命に仕事をしています。家を綺麗に使いやすくするという作業は、厳しさを伴った非常にやりがいのある作業だからです。
工事途中は、どんなに小さなことでも、疑問に思うことや気になることがあったら、どんどん質問してみてください。
また、「すごい」と感じるところがあったら、是非とも、その気持ちを職人に伝えてみてください。
「いつも熱心に御苦労様です。」
その一言だけでも構いません。
自分の仕事が評価され、自分の作ったものが大切に扱われていると感じるとき「この人のために良くしてあげたい。」と思うのは、誰にとっても当たり前の心境といえるでしょう。
必要以上に、気を使っていただく必要はありません。
でも、せっかくですから、職人とはなるべくいろいろな会話を楽しんでみてください。
お互いに感謝の気持ちが通じ合うとき、きっと想像以上に素晴らしいものができ上がると思います。
Q.契約書類のチェックポイントを教えて。
A.工事内容と見積書の価格に納得したら、いよいよ契約書に署名捺印します。
リフォーム工事の場合、簡単な作業で終わるものでも、必ず契約書か注文書を取り交わすようにしましょう。工事途中の追加・変更工事を行う場合は、着手前に契約変更を行うことです。
契約書類は一般に、契約書、約款、設計図、見積書、工程表、設備製品の承認図・仕様書等です。
契約書のチェックポイントは、工事内容、請負金額、工事の着工時期・完成時期、支払い条件です。
大規模な工事の場合は、工期が伸びる可能性があります。仮住まいをするのであれば、業者の都合で工期が伸びる時は家賃の負担を業者側にしてもらう内容を取り決めておくと良いでしょう。
支払い条件はリフォーム工事の規模にもよりますが、契約の際に着手金として総額の3~5割、工事終了時に残金をいただくケースが一般的です。
約款には、工事が遅れた時の違約金や保証期間などが定められています。
中には保証期間が盛り込まれていないケースもあるので、よく注意してみてくださいね。
契約だけ急がせて、なかなか着工しない業者もいるので、契約書には忘れずに着工日を記入してもらいましょう。
クーリングオフについて、契約書を交わした日から8日間は無条件で契約を解除できます。
また契約書類が交わされず着工した場合は、クーリングオフの起算が開始してないとみなされその後、契約書類が交付されてから8日間までクーリングオフができます。
おわりに
家は家族みんなが幸せに暮らす大切な場所です。
建てては壊し、また建てる、それが必要な時もあります。
でも、一度建てた家を家族構成が時代の流れに応じて、そのつど最適な住まいにリフォームしていくことも、またひとつもあり方でしょう。
そして、家には家族の思いや愛情が沢山詰まっています。
そんな思いを大切に残し、いつまでも快適に暮らせる住まい、生活しやすい住まい、そのお手伝いをしていくのが私たちの使命です。
私は、沢山の高齢者の方や障がい者の方にお会いしたことで、家での事故防止をもっと理解していただかなければならないと感じました。
高齢者の方の住宅改善の必要性を訴えるために、これまでに数々の講演なども行ってきました。
そして、1人でも多くの方にメッセージを発信したいと私は感じるようになったのです。
一人一人に伝えるには時間が足りない。でも、私は高齢者の方の方や皆様にメッセージを発信する使命がある。
そんな思いが私にこのコラムを書かせたのです。
このコラムを通じて、家族が幸せに快適に暮らせるお手伝いができたら本望です。
心から満足できるリフォーム工事を成功させていただきたいと願っています。
あなたの幸せなリフォームを心からお祈りしています。
まだまだお伝えしたいことが沢山あるのですが、また次回のコラムにて。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。